中小製造業が値上げ交渉を進めるにはどうすれば良いの?

2023.7.4

代表経営コンサルタント 宮川 壮輔

“物価が上がってきてるので値上げしたいんだけど”

“値上げと言ってもなかなか聞き入れてはくれないし”

今回は、そんな中小製造業の社長のための
お話しです。

最近は、コロナ禍からの回復基調により、
業種によっては成長している会社も
増えてきているでしょう。

その一方で、ものづくり組立加工業などの
中小製造業は、エネルギー物価高騰や
賃上げ圧力などにより、
非常に厳しい状況と言って良いでしょう。

このような中小製造業は、
以下の2点について進めていく必要があります。

(1)原価計算
(2)値上げ交渉

まずは、(1)原価計算。
これは、工場別や製品カテゴリ別に
原価を把握して、利益を把握するために
とても重要です。

原価計算というと、
現場からの積み上げ方式で
製品別に材料費、人件費、外注費
などを細かく積算していくことを
イメージする人も多いと思います。
詳細な個別原価計算みたいな
イメージです。

しかし、現場からの積み上げ方式で
個別原価計算を行うのは、
非常に手間暇がかかります。

それでいて、結局は、
正確に割り振れない経費もあって、
1円単位の正確性というのは、
現実的には不可能ですね。

そうすると、まずは、
工場別や製品カテゴリ別などの
大まかな原価や利益の傾向を
掴むことを目的として、
いち早く算出する方法を
採用したい。

そのためには、決算書からの逆算方式の
方が、スピードは速いです。

決算書の「製造原価報告書」の数値を
割り振っていくということですね。
材料費、賃金、外注費、経費を
工場別・製品カテゴリ別に
割り振ってみてください。

もちろん、割り振るためには、
賃金台帳から工場別・製品カテゴリ別に
賃金を集計する必要が
あるかもしれません。
また、金額の大きい項目については、
少し掘り下げて細かめに割り振って
いった方が良いでしょう。

やり方としては、
金額の大きな項目に対して、
現場の数字を概算集計して
比率を算出し、
その比率で決算書の数字を
割り振るということですね。

細かくやるとキリがありませんので、
まずは、金額の大きな項目だけで
やってみましょう。

小さな項目は、何らかの基準で
割り振ってください。

これを集計すると、
工場別・製品カテゴリ別の
概算原価と概算利益が出ます。
まずは、概算でいいので、
現実を認識してください。

その上で、(2)値上げ交渉ですね。
値上げ交渉を行うためには、
ドキュメント化が必要です。

概算原価だけですと、
粗々の状況ですので、
利益率の低そうな工場や製品カテゴリに
あたりを付けて、個別の積み上げを
行って、もう少し精度の高い
個別原価計算を行いましょう。

そして、先方に伝わるように
書類として作成してください。
まずは、金額の少ないものから
練習するのもありです。
そして、利益率の極端に低い製品や
赤字の製品について、
値上げまたは撤退を進めていく
必要があります。
ここは、なかなか厳しいと
思うかもしれませんが、
外部環境が大きく変わったことを
認識して、現在と将来のために
覚悟を決めてやらないとイケません。

今すぐに全てをやるのは難しいですが、
少しずつでも進めていきましょう。
原価意識や利益意識が向上すれば、
改善の効果も上がります。

その上で、新規開拓や技術の深化を
進めていけば、将来的に選ばれる会社
として成長・発展していけますね。


あなたは、原価意識や利益意識を上げていますか?


続きはまた次回。

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●●今週の深海奥義●●

・原価と利益の意識を上げよう!

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