中小製造業が値下げ要求をどこまで受けるべきかの判断は?

2023.7.11

代表経営コンサルタント 宮川 壮輔

“見積り後に値下げを要求されてるんだけど受けて良いの?”

“どこまでなら受けるべきなのか?”

今回は、そんな中小製造業の社長のための
お話しです。

顧客に見積りを提出したら、
値下げ要求があって、
本当は値下げしたくないんだけど、
完全に失注するよりはマシということで
そのまま値下げを受け入れる
なんてことはよくあると思います。

こんなとき、どこまでなら受け入れて、
どこまでなら断るべきか、
判断基準が欲しいですよね。

これに関しては、明確かつ実際的な
判断基準は実はありません。
もちろん、最低限の基準はありますが、
それを上回っていれば、
実際には都度判断ということなります。

しかし、それだと基準が不明確なので、
ある程度の指針はあります。
以下の点について検討してください。

(1)個別に適正利益が出るか?
(2)社外費用以上の利益が出るか?
(3)計画の進捗状況を認識しているか?


まずは、(1)個別に適正利益が出るか?
これは、一番簡単です。
案件ごとに個別に原価計算して、
営業利益が出るかどうかによって
受注を決定します。

財務的には一番保守的でかつ
安心の基準ですね。
でも、見積段階でしっかりと原価計算して
適正利益を把握している会社って
意外と少ないですね。
材料費、外注加工費、
加工時間に基づく賃金などは
算出するものの、間接費や販管費を
考慮した製造原価を算出している
ケースは少ないです。
もし、しっかりと原価計算した上で
見積価格を設定しているなら、
営業利益が出るかどうかによって
判断することは1つの基準になります。

少しでも営業利益を確保できる
ということであればまだ良いのですが、
実際にはそんな簡単にはきません。
ときには、営業利益を確保できないけど、
失注するよりは受けた方が良い、
というときもあり得ますよね。
そんなときは、次の(2)ということになります。


次いで、(2)社外費用以上の利益が出るか?
個別の営業利益は確保できないけど、
失注するよりは受けた方が良いかどうか、
というときの基準です。

これも明確です。
社外費用以上の利益が出るかどうかを
最低限の判断基準としましょう。

社外費用というのは、
多くの場合、材料費外注加工費です。
これを下回る価格の場合、
やればやるほど赤字が増えていきます。
ですので、この基準は本当に最低限の
最終基準としてください。

一方、社外費用を上回ってさえいれば、
社内の固定費の回収に寄与します。
ですので、受注することに意義がある
場合もあります。

ただし、最終基準を上回っていても、
財務上の営業利益まで出るわけでは
ありません。
したがって、最終基準を越え、
営業利益を下回る場合に、
どこまで受けるべきかというのは
実際には次の(3)の検討次第、
ということになります。

では、(3)計画の進捗状況を認識しているか?
これは、計画の進捗に応じて
受けるかどうかを決定するということです。

計画というのは、売上、利益、生産等の
経営上の計画数値ですね。
例えば、期の初めであれば、
営業利益を下回る場合は受けないとか、
半期まで進んだ状態で、
計画の進捗が芳しくない場合は、
最終基準さえ上回っていれば、
社内の固定費回収に寄与するために
受注するといった判断をします。

結局は、都度ごとの判断ということに
なりますが、上記(1)と(2)をしっかりと
認識した上で、計画の進捗によって
判断するということは、全体を把握した
上での能動的な経営判断です。

その方が、売上や利益を明確に
認識しながら進めていくことができますね。


あなたは、全体を把握した上での経営判断をしていますか?


続きはまた次回。

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●●今週の深海奥義●●

・計画に応じた能動的な経営判断!

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