中小製造業が組織で新規事業を始めるにはどうすればいいか?

2024.1.16

代表経営コンサルタント 宮川 壮輔

“今後のことを考えるとウチも新規事業を立ち上げたい”

“うちの社員はどうせ新規事業のアイデアを出してこない”

今回は、そんな中小製造業の社長のための
お話しです。

環境が大きく変わっていく中、
今のうちに新規事業を始めたい、
という社長は多いですよね。

でも、新規事業と言っても、
“どうやって起ち上げれば良いのかよく分からない”
という社長も多いでしょう。

新規事業を立ち上げるとき、
重要な考え方としては、
“失敗する可能性をなるべく減らす”
ということです。

もともと、新規事業というのは、
失敗する可能性が極めて高いですよね。
やみくもに始めた場合、
1勝9敗でもOKと言えます。
要するに運の問題。

でも、これですと、
組織としての事業の再現性
という点でも問題ですね。

ですので、社長は、
新規事業はほとんどが失敗する、
ということを前提として、
ではどうすれば失敗確率を
極限まで減らせるのか?
という点を意識してください。

そのためには、開発の前の
テーマ決めがとても重要になってきます。

以下のステップで
新規事業のテーマを創造して
いってください。

(1)顧客の未知の困りごとの収集体制

まずは、顧客の未知の困りごとを
収集する体制を構築してください。

顧客の未知の困りごとというのは、
ヒアリングして直接聞き出す、
というものではありません。
顧客に直接聞いて答えられる
ような困りごとは、たいていの場合、
解決手段がすでに存在しています。

つまり、既知の困りごとでは、
競合が先行しているので、
新規事業として儲かりません。

そうではなく、顧客がまだ気づいていない
未知の困りごとを集めてください。
このとき重要なことは、
“困りごとの仮説を自分で作る”
ということです。

顧客はまだ気付いていない訳ですから、
直接聞いても出てきません。
ですので、顧客と接触している中で、
“このようなことに困っているのではないか”
“こんな手段があったら喜んでもらえるのではないか”
ということを、自分から創造していく
必要があります。

ただし、社員にいきなり“やれ”と言っても、
難しいでしょう。
社員だって今までそんな意識を
持っていたわけではないですからね。
そのため、事前に思考のフォーマットを
作ってください。
フォーマットを作って、
空欄に埋めてもらうようにして、
営業や納品の担当者の
意識付けを行いましょう。


(2)創造会議の定期開催

それから、創造会議を開催してください。
これは、(1)で集めた顧客の未知の困りごとを
共有して、自社で何ができるか、
について、創造していくものです。

初期の段階では、ある程度自由に
創造してください。
何でもできる、という前提のもとで、
アイデアを発散させるということを
意識してください。

ただし、ある程度アイデアがでるように
なったら、次の段階では、
自社でやるべきこと、できることに、
フォーカスしてください。

そして、そのテーマについて、
新規事業として進めるかどうかの
判断項目を作って、
プレ決定してください。


(3)プレ決定のニーズヒアリング

上記(2)で決めたプレ決定について、
ニーズがあるかどうかをチェックして
ください。

プレ決定は、仮説のもとに進めていますので、
本当に需要があるかどうか分かりません。
ですので、プレ決定のコンセプトの段階で、
顧客にヒアリングしてください。

(4)事業設計
プレ決定がニーズあり、と判断したなら、
そのテーマについて、
事業を設計してください。
市場規模や競合を調べ
販売戦略の大枠を決定してください。

その上で、事業として儲かる、
と判断できるなら、
開発テーマとして決定です。
次の開発段階に進んでください。

このように、開発に着手する前に、
顧客の未知の困りごとを自ら創造し、
事前に、ニーズを調べ事業設計した上で、
開発テーマを決定してください。


あなたは、顧客の未知の困りごとを自ら創造していますか?


それでは、また次回。

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●●今週の深海奥義●●

・顧客の未知の困りごとを創造!

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